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THE PRINCIPAL
名誉園長就任メッセージ
田中 茂範
International Montessori
Mirai Kindergarten 名誉園長
経歴
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慶應義塾大学名誉教授
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COCONE 言語教育研究所 所長
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JICA語学研修諮問委員会 座長
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財団法人国際交流サービス協会 アドバイザー
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ベネッセ教育総合研究所 ARCLE 理事
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智学館中等教育学校、高木学園高等学校の英語教育アドバイザー
みんなたくましく、しなやかに
「園児たちに最良の教育を提供したい」という思いで、インターナショナル モンテソーリ ミライ キンダーガーテン(「ミライ」)は、2017年4月に開園しました。
最良の教育を実現するため、幼児は大人の想像を遥かに超える学習能力・創造能力をもっており、幼児たちの自発性を大切にすることこそが、その可能性を引き出す最大の鍵であるとするモンテソーリ教育を主軸にすえました。そして、今や「英語はできて当たり前」という現状に鑑み、ミライでは英語習得の「黄金期」に豊かな英語に触れ、英語を使う機会を提供することで、園児の中に息づく確かな英語力を育てるバイリンガル教育を実施することにしました。グローバル化とともにデジタル化が進む状況にあって、デジタル・コンピテンスを身につけることは、英語力同様に必要であり、ミライでは、幼児のためのコンピュータ・サイエンスを取り入れました。そして、もうひとつ絶対欠かせないのがウエルネス(健康な体と健康は心)です。そこで、ボディー・アート・リテラチャーが加わり、ミライの4つの車輪ができました。開園から5年間、試行錯誤もありましたが、今ではこの4つの車輪がうまくかみ合って、ミライがしっかり動いていると確信しております。
私は、開園当初からアドバイザーとして、この幼稚園にかかわり、ミライが確実にその教育目標を実現していく様子を見守ってきました。そして、今回、縁があって、「見守り」というより、もっと深くコミットする形で園長の役をお引き受けすることになりました。就任の挨拶として、ミライの教育的使命についての思うところを、改めて述べさせていただきたいと思います。
この幼児園のミッションは何かと問われれば、次のようにお答えします。それは、園児たちが豊かな人生を切り拓くための素地を耕すことである、と。これは、どういうことでしょうか。
豊かな人生を切り拓くための素地を耕すには、2つのポイントが大切だと思います。よく、知育・徳育・体育が教育目標の3大要素として語られます。このままでは何か大切なものが抜けています。「ミライ」というコトバに託したのは「夢育」です。知徳体に加え、未来に向けて豊かな夢をはぐくむことができるような子どもになってほしい。「夢育」を大切にすること、これが1つ目のポイントです。
2つ目のポイントは、たくましく、そしてしなやかに物事に向き合う力を育てたいということです。おそらくだれであっても、これから30年後をはっきり見通すことはできないでしょう。
振り返ってみれば、1995年がインターネット元年といわれます。それ以降、スマホ、ドローン、電子通貨、AI、IoT、ブロックチェーンなど、30年前の常識ではとても想像できないことが現実化してきています。これから30年後はどうなっているでしょうか?とても予測はできません。しかし、どんな状況であれ、たくましさとしなやかさがしっかり備わっていれば、よりよい判断をし、人生を豊かに歩むことができるはずです。なお、ここでいう「たくましさ」とは、どんなことに対してでも、自分で考え、判断し、行動する力のことです。
そして、「しなやかさ」とは、異なるものや対立状況に向き合ったとき、違いを力に変えることができるような力のことをいいます。
これまでも、当幼稚園では、夢育、そして、たくましさとしなやかさを大切にしてきたと思っています。これからもこの教育的使命を大切にしながら、園児に対して最良の教育を提供し続けていきたいと考えております。
ご支援ご鞭撻のほど、何卒よろしくお願いいたします。
2022年4月吉日
田中茂範
バイリンガル教育について
夢を大切にする幼稚園
私は、今の教育に欠けているのは「夢育」だと思います。
体育、知育、そして食育が教育の三本の柱とみなされていますが、未来を拓く子どもたちには「夢をもつ、夢を育む」教育が必要だと思います。そのためには、子どもたちが生来持っている感性、可能性を幼い頃から引き出すことです。大人の常識で大人の枠をはめてしまわないことです。これはまさにモンテッソーリ教育の核心です。
私は、前園長先生からこの園についてゆっくり伺う機会がありました。大いに共感し、心から応援したいという気持ちになりました。
21世紀型のモンテッソーリ教育を実現するという強い決意を感じました。幼児の感性を引き出すための「身体知」、夢を育み、それを実現するために必要な「英語」と「コンピュータ・リテラシー」を重視するこの園には、「子どもたちの未来」のために何をすべきかを考え抜いたビジョンがあります。先生方のパッションがあります。
私の専門である英語教育について言えば、英語は「できて当たり前」という状況になりつつあります。インド人やフィンランド人やタイ人が仲間にいる仕事場もありふれた風景になるでしょう。その場合、国際共通語として英語が使われるはずです。英語が使えることで未来の可能性が変わってきます。幼児が英語を習得する鍵は、「英語の日常化」であり「日常の英語化」です。英語を自分の生活の中で当たり前に使うというのが英語の日常化です。そして、通常、日本語で繰り広げられる日常を英語にしていくというのが日常の英語化です。この2つを可能にするミライ・キンダーガーテンで、園児たちは、ひとりひとり自分の中に息づく英語を育てていくことができると確信しております。
園におけるよりよい英語教育のため、私自身もしっかり応援していく所存です。
田中 茂範 慶應義塾大学名誉教授
これまでの経歴のご紹介
社会活動
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NHK英語教育番組『キーワードで英会話』『わかる使える英文法』を担当 (2006-2007)
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高等学校検定教科書『コミュニケーション英語 PRO-VISION 1-3』 (桐原書店)編者代表
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『Eゲイト英和辞典』(ベネッセ)編集主幹
代表著書
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『認知意味論:英語動詞の多義の構造』三友社出版
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『コトバの意味づけ論』紀伊国屋出版
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『空間と移動の表現』研究社
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『幼児から成人まで一貫した英語教育の枠組み』リーベル出版
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『英語感覚が身につく指導:コアとチャンクの活用法』大修館書店
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『日常まるごと英語表現ハンドブック』コスモピア